大好きな君にエールを
すると病室のドアが開いた。シゲさんの両親と医師だ。続いて監督とコーチも入ってきた。
「荒嶋と永松…外に行くぞ」
キャプテンが声をかけた。俺はシゲさんの傍を離れたくなかったが渋々病室を出た。
────…
「ほら、奢り」
キャプテンが俺と永松の前に、冷たいジュースを目の前に差し出した。
「キャプテン…」
「ん?」
「明日から…どうなるんですか?花龍の野球部は…」
俺の質問にキャプテンは無言だった。返事が出来なくて当たり前だとわかっている。だけど聞きたかった。
『シゲが元気ピンピンになって帰ってくるから大丈夫だ』
って。だけど誰にもその保証は出来ないのが現状で。
俺だって、シゲさんの名前を呼ぶことしか出来なくて…。