大好きな君にエールを
「でもね?あたし荒ちゃんがキャッチャーになるかもって言った時…本当に嬉しかったんだよ」
「でも実力じゃな…」
「それでも嬉しいの。だって自分の彼氏が甲子園に出るかもしれないんだよ?誰だって嬉しいよっ」
格好良いでしょう?とかの自慢じゃない。ただ、単純に嬉しいの。
「それからね、今回のことで思ったの。荒ちゃんはあたしに弱音をぶつけていいって。だって…あまり弱音を吐けないでしょう?」
親も知り合いもいない場所で約1年半過ごしてきた、荒ちゃん。不安だって苦しみだって吐きたくなる。
背丈や心もさらに広くなった荒ちゃんだけど、1人じゃ背負いきれないはずだよ。
「なぁ…麻帆、ちょっとあそこのベンチに座んねーか?」
イキナリの荒ちゃんの誘いだったが、あたし達は木陰のベンチへ移動した。やっぱり7月は暑いもんね。