大好きな君にエールを
『顔…見ないからさ、泣いていいよ』
麻帆の言葉を聞いた瞬間、俺の中の何かが溢れだした。
泣かないつもりだったけど、止められなかった。麻帆の腕があまりにも温かかったんだ。
俺より身長は小さいくせに、こういう仕草は大人なんだよな、お前って。
今は夏なのに、人一倍汗っかきな俺なのに、麻帆の腕の中は暑苦しいとは思わなかった。
────…麻帆の優しさが、俺の『苦しみ』を溶かしていっている気がしたんだ。
「…荒ちゃん、大丈夫だからね」
麻帆は小さな子供に話しかけるように俺に言った。そんな麻帆の声を聞きながら、あの日からのことを思い出し、麻帆に話していた。
あの日から…そう、麻帆と言い合いになって電話を切った日からのことだ。