王国ファンタジア【氷炎の民】外伝~新生~
「サレンス様?」
怪訝げに凍青の瞳をレジアスに向けるのはいつものサレンスだった。神の気配は去っていた。
「あ、レジアス。僕どうしてたのかな?」
そう問いかけられても、レジアスには教えることはできない。 神の<器>はまた神の一部。本来の自分を思い出せば、彼は<サレンス>のもとに還ることになる。しかし、それは人としての生を終えることを意味する。
レジアスの知るサレンスが再び命を得ることはない。
だから、レジアスは知らないふりで惚けるしかない。教えれば、彼の大事な預かり子の生もまた失われかねない。
「どうしてたって?」
「なんか頭痛い」
今度は頭を押さえる少年。薄闇の中、顔色がよくみえないが、あまり調子はよくなさそうだった。
「だいじょうぶですか?」
心配になって声をかけるレジアスに少年はかぶりを振る。
「だいじょうぶ。ううん、やっぱりだいじょうぶじゃない」
「サレンス様?」
「ごめん、レジアス。なんだかすごく眠い」
言うなりレジアスの胸元に倒れこんでくる。
「っと、サレンス様」
慌てて受け止める。ずっしりとした重みが腕にかかる。
驚いて血の気の失せた青白い顔を覗き込むと、軽く寝息を立てている。まだ発達途上にある彼では<神の器>としての体力が追いついていないのだろう。
「ほんとに落ち込んでいる暇はなさそうですね、<サレンス様>」
赤ん坊の泣く声が遠く聞こえた。
(END)
怪訝げに凍青の瞳をレジアスに向けるのはいつものサレンスだった。神の気配は去っていた。
「あ、レジアス。僕どうしてたのかな?」
そう問いかけられても、レジアスには教えることはできない。 神の<器>はまた神の一部。本来の自分を思い出せば、彼は<サレンス>のもとに還ることになる。しかし、それは人としての生を終えることを意味する。
レジアスの知るサレンスが再び命を得ることはない。
だから、レジアスは知らないふりで惚けるしかない。教えれば、彼の大事な預かり子の生もまた失われかねない。
「どうしてたって?」
「なんか頭痛い」
今度は頭を押さえる少年。薄闇の中、顔色がよくみえないが、あまり調子はよくなさそうだった。
「だいじょうぶですか?」
心配になって声をかけるレジアスに少年はかぶりを振る。
「だいじょうぶ。ううん、やっぱりだいじょうぶじゃない」
「サレンス様?」
「ごめん、レジアス。なんだかすごく眠い」
言うなりレジアスの胸元に倒れこんでくる。
「っと、サレンス様」
慌てて受け止める。ずっしりとした重みが腕にかかる。
驚いて血の気の失せた青白い顔を覗き込むと、軽く寝息を立てている。まだ発達途上にある彼では<神の器>としての体力が追いついていないのだろう。
「ほんとに落ち込んでいる暇はなさそうですね、<サレンス様>」
赤ん坊の泣く声が遠く聞こえた。
(END)