Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
逸らすことをけっして許さない力強い瞳。
その双眸は、まるで暗い深淵を覗き見るかのようにどこまでも深く、あまりにも危うい。
けれど危険を承知で吸い込まれていく。
――…惚れてやろうか?
「…好き…な…の?」
福嶋くんは…あたしのことが…
だから…
キスマークなんて付けるの…?
妖艶な視線に囚われる。
熱っぽい指先が髪に絡みつく。
熱い息がやさしく耳朶をくすぐった。
「好きだよ…」
甘くささやく低い声。
その瞬間、ひとしずくの水滴が心の深奥にまっすぐ落ちていき、幾重にも波紋を広げた。
「…好きだよ」
親指が唇をゆっくりなぞり、触れるか触れないかの距離まで唇が近づいた。
そして、福嶋くんはいつもの意地悪な顔になる。
「――…おまえを苛(いじ)めんのが」