Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
『せっかくだいぶスペイン語覚えたのにね』
『…陽菜…辛かったろ? 6年間』
『…そうね。でもお祖父様はとってもよくしてくれたわ。いつも気にかけて下さって恭弥のことで落ち込んでいたらお散歩に連れ出してくれるの。「辛いときや苦しいときは木漏れ日を浴びなさい」って』
木々の隙間からこぼれる光ほど美しいものはないからね。
たとえ日陰にいても木漏れ日が差し込めばそこはたちまち美しく光輝く。
だから君は木漏れ日の差し込む場所なんだ。
日陰にいてもキラキラと美しく光輝くことができる。
もっと自分に自信を持ちなさい――…。
『私、お祖父様と結婚したかったわ』
『ははっ(笑) 同じ血が流れてるとは思えないな』
『でしょ?』
さすがは建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を獲っただけあるな。
恭弥には一生かかっても偉大な祖父のような作品は創りだせないだろう。
『…慧吾くん、あの頃に比べてだいぶ顔つきが男らしくなったわね?』
『…そりゃもう28だし(笑)』
『…結婚は?』
『…まだ』
『…する予定は?』
『今のところ未定』
『……恋人は?』
俺は笑いながら首を横に振った。