完━あなたは、敵━<先生との恋・スピンオフ作品>
そう言ってくれる三浦さん。
でも、あたしは本当に出来ないから。
首を左右に振る。
「心が発作を起こした時、何も出来なかったんです」
「病気だって知ってたの?」
「……いえ。心はあたしに病気の事を教えてくれなかったんです。心配かけたくなかったみたいですけど、知っていてもあの場で何も出来なかったと思います。
仕事だって任されたのに何も出来なかった……」
本当に何も出来ない女だよね、あたし。
自分で言ってて悲しくなってきて涙が出てきた……。
涙が零れても気付かれないように、下を向いてノートを読むふりをしてノートに書かれている文字の羅列を指先でなぞっていく。