完━あなたは、敵━<先生との恋・スピンオフ作品>
でも、せっかく三浦さんがあたしの為に会社から貰って帰って来てくれた訳だし。
あたしは少し迷ったけど、バックから折畳みの鏡を取り出して、グロスを塗る。
色の無かった唇が、グロスを塗る事によって明るく華やかになった。
グロスを塗るだけでメイクしていなくても、少しは違うもんね。
よし……っ!
鏡から顔を上げると、三浦さんは真っ直ぐこっちを見ていて。
あたしは恥ずかしくてぐっと唇を結ぶ。
「……さ、送っていきますから。用意して下さい」
……あれ?
グロスについては何も触れてくれないんだ。
期待していた訳では無いけれど、何も言ってくれないって。
やっぱり似合ってなかった?
変だった?
あたしのコップもついでに持ってキッチンへと置きに行く三浦さん。