完━あなたは、敵━<先生との恋・スピンオフ作品>
……でも、そのお陰で三浦さんが本当はあんな意地悪な人じゃないって分かったから、良かったかも。
ハイヒールを履きおえて、真っ直ぐに立つと後ろに立つ三浦さんの方へとくるっと振り向いて顔を上げた。
「ありがと……ンッ」
ありがとうございました。
そう言いたかった、ううん、言おうとしたのに。
気が付いたら三浦さんの唇にあたしの口は塞がれていて。
慌てて顔を引こうとしたのに、三浦さんの手があたしの後頭部に回されていて動けない。
唇が離れないまま角度を僅かにかえて続くキス。
……三浦さん?
あたしは、何もできず、ただ三浦さんのキスを受けとめるしか出来なかった。
最後に噛み付くようなキスをした後、離れた唇。
その後、後頭部にあった手があたしの背中にまで降りてきて、あたしは引き寄せられるように三浦さんに抱きしめられた。
あたしは突然の事で顔の熱が真っ赤になっていく。
「椿ちゃんの会社の商品じゃないけど、キスしたくなるグロスだよね」