先生がいた。

「おい。邪魔。」

いきなり背後から声をかけられて私たちは同時に振り向いた。

「中に入れないんですけど。」

その声の主は高崎。
私たちは当たり前のようにその声を無視する。

「やばい。激似なんですけど！」
「お～い。ウッチ～～。」

いきなりニックネームで呼んでみた。
その若い先生は「・・・俺？」みたいな表情を一瞬見せたが、すぐに笑顔になってこんにちは。と挨拶してくれた。

「俺を無視すんな。中に入らせろ！」

絶対入らせまい。と二人で通せんぼをした。
するとドアをがっしり掴んだ私の手を先生がはがす。
どきっ・・・。
触れた瞬間に手を離してしまいスルスルと先生は職員室に入っていった。