涙が愛しさに変わるまで
「なのに電話で先に言うし、会社にも来なくなるし。」
「……すみま、せんっ」
「本当まー子には振り回されっぱなしだよ。」
言葉とは裏腹にあたしの頭を優しく撫でてくれる。
触れられて嬉しい……でもあたしは夏波さんのことが心配なんだ。
夏波さんに桐沢社長がここにいることがバレたら……。
「心配すんな」
桐沢社長はあたしの頭の中を読んだように言った。
「ほら。」
そういってあたしに左手を見せた。
「………あ!指輪!」
桐沢社長は、ふっと笑った。
「離婚したんだ。本当はもっと早くするつもりだったけどな。」