涙が愛しさに変わるまで
「だから……」
桐沢社長は真剣な顔になり、あたしを見つめた。
「……俺は、真依が好きだ」
……鳥の鳴き声や、隣の家の物音などか耳にはいらなかった。
桐沢社長の言葉だけがあたしの頭を駆け巡った。
『好き』その二文字がずっと欲しかった。
桐沢社長という存在がずっと欲しかった。
それが今こうして、叶ったんだ……。
あたしはいつのまにか涙が溢れだしていた。
その涙を桐沢社長が指ですくった。
「おまえが俺に告白した日に、俺も言おうと思ってた。」
そう言いながら、桐沢社長は凄く優しい笑顔をあたしに向けて見せた。