花粉症の男性が出会った植物
血を求める植物
この時期になると、オレは地獄を味わう。
くしゃみは止まらなくなるし、鼻はつまる。そして眼がかゆくて仕方無い!
つまり、花粉症というヤツだ。
幼い頃は平気だったのに、20歳を越えた頃からひどくなってきた。
おかげで好きだった山登りができなくなった。
薬は一時の物。マスクやメガネもあまり効果がなかった。
自然が好きだったのに、今では無機質な物が溢れる都会に引っ越してしまった。
おかげで最低限の予防で、何とか暮らしていける。
けれど時々、どうしようもなく自然に触れたい時があり、そういう場合は花屋で花粉の無い植物を買っている。
植物園とか行って見たいけれど、危険が多そうなのでやめておいた。
今はちょうど花粉症の季節。
けれどどうしても植物が欲しくなって、仕事帰り、花屋に寄ろうと街中を歩いていた。
だがその日、仕事が押していて、花屋の閉店時間になりそうだった。
だからいつもは通らない、裏道を早足で通った。
大通りを1本外れただけなのに、ここの空気はおかしい。
どこか暗く、重い。ここにいる人達も、まとう空気が何か違う。
怖くなって思わず俯いていると、ふと植物が眼に映った。
足を止めて改めて見ると、路上で植木鉢が売られていた。
まだ淡い新緑色の葉っぱは小さく、柔らかそうだ。
けれど見たことのない形だな。
自然には触れられないだけに、調べるのは熱心にした。
だから自分では知らない植物なんかないだろうと自負していたんだが…。
「おや、お客様。興味がおありで?」
植物をじっと見ていたオレに声をかけてきたのは、植物を売っていた男だった。
漆黒のマントを頭からすっぽりとかぶり、見えるのは男のニヤけた口元だけだった。
くしゃみは止まらなくなるし、鼻はつまる。そして眼がかゆくて仕方無い!
つまり、花粉症というヤツだ。
幼い頃は平気だったのに、20歳を越えた頃からひどくなってきた。
おかげで好きだった山登りができなくなった。
薬は一時の物。マスクやメガネもあまり効果がなかった。
自然が好きだったのに、今では無機質な物が溢れる都会に引っ越してしまった。
おかげで最低限の予防で、何とか暮らしていける。
けれど時々、どうしようもなく自然に触れたい時があり、そういう場合は花屋で花粉の無い植物を買っている。
植物園とか行って見たいけれど、危険が多そうなのでやめておいた。
今はちょうど花粉症の季節。
けれどどうしても植物が欲しくなって、仕事帰り、花屋に寄ろうと街中を歩いていた。
だがその日、仕事が押していて、花屋の閉店時間になりそうだった。
だからいつもは通らない、裏道を早足で通った。
大通りを1本外れただけなのに、ここの空気はおかしい。
どこか暗く、重い。ここにいる人達も、まとう空気が何か違う。
怖くなって思わず俯いていると、ふと植物が眼に映った。
足を止めて改めて見ると、路上で植木鉢が売られていた。
まだ淡い新緑色の葉っぱは小さく、柔らかそうだ。
けれど見たことのない形だな。
自然には触れられないだけに、調べるのは熱心にした。
だから自分では知らない植物なんかないだろうと自負していたんだが…。
「おや、お客様。興味がおありで?」
植物をじっと見ていたオレに声をかけてきたのは、植物を売っていた男だった。
漆黒のマントを頭からすっぽりとかぶり、見えるのは男のニヤけた口元だけだった。
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