無口なDarling
「その・・・ね?」


髪を撫でてやると、小さい声で話しだした。



「それ・・・」



それ、と言いながら俺の首筋に付いたキスマークを撫でた。



「これ、何?」


・・・はぁ?


「これ、キスマークだよね?」


当たり前だろ。お前が昨日散々だだをこねて付けたんだろ?


「正直に言ったら・・・今回は、許す・・・から」


そう言いながらも潤んだ目をして、俯く。



このキスマークを付けたのが自分って事を忘れて?他の女が付けたと?



・・・ハァ。


もう完璧こいつには酒禁止だな。



「・・・そうだけど?これ、キスマーク」


見せ付けるように、くいっと首筋を前に出すと泣きに力が入る。


「散々駄々こねられてさぁ。しょうがないから付けさせてやったんだよね」


俺の言葉一つ一つでビクっとなる。


「ま、跡を付けられんのも悪い気はしねーなぁ?」


くいっと俯いた澄子の顎を持ち上げ、上を向かせる。


「・・・っヒドイよ・・・」


ヒドイのはどっちだ?昨日はあんなに幸せそうにしてたのを忘れたのか?



「だってさー。好きな女に付けられたんだから、悪い気・・・するわけねーだろ?」

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