宝石よりも

静かな夜。



人気のない暗い浜辺に一人立って、ただ黙ったまま月を見上げた。




闇夜に浮かぶ美しい月は、一体何を思ってそこに佇んでいるんだろう。



海に写る姿さえ、濁ってしまってわからないというのに。




目を閉じて波の音を聴いた。


美夜のいない夜はこんなにも静かだったということを忘れていた。




消えてしまった美夜を想う。




気づかなかった、君への気持ち。


こんなに大切だったなんて


こんなに必要としていたなんて……




綿飴みたいに甘く笑う君の笑顔に

また会える日は来るのかな?



< 87 / 103 >

この作品をシェア

pagetop