嘘つき③【-束縛-】
確かに、何もない。
いや、あるんだけどね。水が。水だけが。このデカい最新式の冷蔵庫を占領している。
だから、この人の生活はどうなってる!
時計もない、食料もない、よく見れば生活感もない。
むしろ呆れを通り越して笑えてくるあたしに、
「料理などしなくても構わない」
部長はコホンと咳払いをしてそう言った。
別に、その言い方が淡白だったとか冷たかったとかどうでもいい。
ただ、少し、切なかったあたしは面倒くさい。