嘘つき③【-束縛-】
「部長、今日はあたしが料理、します!」
「有り難いが構わない」
部長は単調に言い返す。
「いえ、作ります!」
引くに引けない腕を捲って「失礼します」と言って部長の部屋の冷蔵庫に手をかける。
「冴木、何もないぞ」
その低い声に怯まない。何か、はあるだろう、料理上手な女って所見せてやるから、なんて勢いづいて扉を開けた。
「…」
無言になるのは仕方ない。
「ないと言っただろう」
部長がフゥと息をついた。