嘘つき③【-束縛-】
そんな言葉、欲しいんじゃない。だけど、くれるならいくらでも受け取るから、
「愁哉さん程、狡い人知りません」
「勉強になったな」
「…結果を出すまで動きません」
「君は向上心の高い部下だ」
「上司が優秀過ぎますから。」
嘘みたいな冷静な会話に鼓動が落ち着く。引かない。一歩も。ここまで来たら、引けない。
「そんなに似てますか?」
あたしの質問に部長は眉を上げる。
「…芯の強い所は似ているな。曲げない意志も」
その色に、『その人』が大事な人なんだと考えなくても分かる。
それなら、
「…代わりでいいです」
「冴木?」
「違う誰かを重ねても、見つめるのはあたしですから」
温もりを感じるのは、その『誰か』じゃない、あたししかいないもの。