嘘つき③【-束縛-】
部長はあたしの頭を撫でる。その瞳が悲しそうで、胸が締め付けられた。
「君をこれから代わりにするつもりはない」
突き放すのに、口調が優しい。
収まっていた筈の嫌な胸騒ぎが止まらない。
「…い、嫌です」
「冴木」
「離れたく、ないです」
「そばにいさせて下さい」
無我夢中で、部長を押し倒した。
薄暗い部屋に馴染む、真っ黒な瞳。サラリとした細い髪が近い。
「花梨」
初めて、あたしの名を呼ばれた事に、反応する、体。
この状況で、それは、本当に卑怯だよ。
嫌、そう言いたいのに、口からは何も出てこない。逆らえない。
「終わりにしよう」
聞きたくなかった言葉をあなたはいとも簡単に告げてしまう。