嘘つき③【-束縛-】
「…どうしてあなたはそんなに冷静でいられるの?形式ばかりの関係だから苦しくない?感情なんていらないの?あたしには、そんなのやっぱり…分からない。」
あたしはその形式さえ手に入れる事など出来ないのに。左手のリングはその存在感をはっきりと主張する。
『欲しければやろう』
部長が何の価値もないように、あの日そう言ったのは、多分、感情のない関係程無意味なものはない、そういう事。
「そうね、感情なんて余計な物、なくていいわ」
琴音さんは、たじろぎもせず透明な声を吐く。
何も、
何も、
伝わらない
「あなたはそれでいいかもしれない。だけど、きっとそんなの違う」
正直に生きれば救われる訳じゃない。あたしだって、何が正しいのかなんて知らないのに
「あなたはお人形さんみたい、…何もない、動かされる程の感情すらない」
こんな事言いたくないのに。
傷つけるだけの言葉は容易く、
あたしを責めない彼女に苛立ったのは本当。