嘘つき③【-束縛-】
『…抱いて下さい』
いつかあたしが言った言葉。
甘いキスは落とすくせに、
触れない彼に感じたジレンマ。
…一度は彼の冷たい瞳に怖くなった。
だけど、
傍にいても触れないあなたに覚悟を決めた時には、
『…自分を大切にしなさい』
部長らしい言葉で優しく見つめた。
それが『拒否』というよりは、本当に優しさだけの気がして
あたしは、単純にその言葉の意味を考えもしなかった。
一緒にいるだけで良かったから。
抱いてくれたら良かったのに。
だったら、
諦めなんかしなかった。