天然彼女の愛し方(完全版)
「来週の日曜、ここで試合あるからそれに来た方が楽しめると思う」
練習なんて10分も見てれば飽きるだろ
それにどうせ見てもらうんだったら試合の方がいい
『…じゃあ日曜日楽しみにしています!』
パァァっと明るくなる顔を見ていると
さっきの顔とのギャップがありすぎて笑いそうになる
どうやったらそんなに表情豊かになれるんだ?
『じゃあもう行きますね』
ニコニコ笑いながらくるっと後ろを向いて歩き出す
…っておい
「待った」
ガシッ
俺は慌てて春華の手首を掴んだ
「今日、早く帰れるから」
ポカンとした顔で振り返った春華に
肝心なことを伝える
本来の目的を忘れるところだった…
『え?部活は…あ、そっか』
そうだよ
さっきその話をしてたばかりだろ…
『今日は廉君とゆっくり帰れますね』
そう言ってふわっと笑うと
友達に呼ばれて教室に戻っていった
「笑顔って…たくさんあるんだな」
そして俺は
笑顔にも種類があることを知った