天然彼女の愛し方(完全版)



なんだか気まずくなって
目線を横にずらしながら手を下げていく


自信がないから
手がそのぶん下がっていく



ひょぃっ



突然手の上のものが宙に浮いた


…いや
もうひとつの手に持ち上げられた



『ふーん…』


「…そんな、まじまじと見たら編み間違いが…」

それをそのまま自分の目の前まで持っていって眺める廉に
指を遊ばせながら羞恥で頬を染める春華



『春華って、それっぽい事できんだな』

「そ、それっぽいって…」


文章が省略されすぎていて意味が伝わらない

…元から伝えようとはしていないんだろうけど



『女の子っぽいこと』


にやっとしたお得意の笑みを浮かべて
私を射抜く挑発的な瞳


「な!…」


私の顔はなんだか分からない感情でカァァと真っ赤に染まる


一体廉君は
私を何だと思ってるんだろう!



そりゃあ確かに

料理も基本ぐらいしか出来ないし…

お菓子も食べられるものにはなるけどそこまで上手に作れるとはいえないし…

編み物や裁縫は一時期マイブームでちょこっとかじったけど人並みだし…

おしゃれとかもセンスがあるとは言いがたいし…



「そ、それなりには出来るもん!」

『へー、その割にはこれ短くて付けらんねんだけど』


げげっ…




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