天然彼女の愛し方(完全版)



その日は一日
どこかぎこちなく過ごした






『お前って、こういうときの対処法とかに疎いよな』

「は?こういう時ってなんだよ」


部室で着替えている颯太にちらりと目線を投げかける

俺は床に座ってバッシュの紐を換えていた



『嫉妬してんだろ?ハヤトや南条のような昔の同級生に』

「…っおま!何で知ってんだよ!」

『俺桐生と同中ですし?』


そうだった

だとしたら颯太は、ハヤトってのがどんな奴か知ってるんじゃ…



聞こうと思ったけど

なんだか怖くて聞けなかった



『廉は器用なのに春華ちゃんが絡むと上手く動けないよな』

「・・・・・・」


その辺は自分も自覚しているんだから

これ以上傷を抉らないでほしい



『女心も妹がいるとは思えないぐらいに激鈍だし』

「…分かんねぇもんは分かんねぇ」


って言うか
今までは分かろうともしなかった


別に自分の中で必要とされていなかったから


『妹ちゃんから少女マンガでも借りて勉強したら?』

「昔読んだ事あるけど、あれは一種のファンタジーだろ」


設定がありえなさ過ぎたりするあんなものを読んで楽しいのだろうか?


そんな事を言うと
颯太はけらけら笑って
『慣れると楽しいけど?』と言った


…どうせ彼女の部屋に置いてあるのを読んだだけのくせに



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