天然彼女の愛し方(完全版)



「綺麗だね…」


ほぅっと熱いため息が零れ落ちるほど美しい
ステンドグラスが輝く教会で
行う事と言ったら一つだけ


『春も綺麗だよ…この日のために頑張ったんだろ?』


「廉君…」

『“廉”…だろ?』



…さて
ここに甘い空気を醸し出している若い一組のカップルがいますが
今日はこいつらが主役ではございません


今日の主役は壇上にいる花嫁と花婿
花嫁の方が廉と従兄弟の関係でお呼ばれしており
『“あの”廉の彼女が見たい~!』と駄々をこねられたために、春華も普段着慣れないフォーマルなワンピースを着てこの場にいるのである



「もうっ、ちょっかいかけないで
結婚式なんて来るの初めてで緊張しているんだから…」


『どうせこの後ガーデンパーティーだって聞いたから
そこまでかしこまらなくてもいいと思うんだけど』


今日はずっと肩に力が入っている春華が面白くて
くすくす笑いをこらえながら廉はことあるごとに茶々を入れている



無事に式も終わり
披露宴代わりのガーデンパーティーへ移るまで
春華はずっと廉のせいで花嫁の姿をまじまじと見ることが出来なかった



今日は眩しいくらいの晴天で
花嫁の白いドレスが一際輝いて見えた


その姿にぼうっと見とれていると
花嫁の方から春華へと近づいてきた



はっと気付いて廉を探すけれど
こんなときに限ってどこへ行ったのかが分からない




『こんにちは、はじめまして
廉の彼女がこんな可愛い子で安心したわ』

「こ、こちらこそご挨拶が遅れてすみません
桐生春華と申します
本日はおめでとうございます!」


急いで頭を下げると『そんなにかしこまらないで』と、クスクスと廉に似た笑い方をされた





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