天然彼女の愛し方(完全版)
かけて来た人の名前を見て
…思わずケータイを落としそうになった
「れ、廉君…?」
そこにはくっきりと
【斉藤廉君】と表示されている
恐る恐る通話ボタンを押す
「…はい、春華です」
声が震える
緊張か、恐怖か、それさえ自分で分からない
『あ、さっき電話したって聞いて…』
初めて聞く
電話越しの廉君の声
心なしか少し低い気がする
「うん…」
それっきり
無言になってしまう
『あのさ、言いたいことがあったから…
今言ってもいい?』
しばらくの無音の後
廉君からおもむろに口を開いた
「うん、いいよ…」
私は窓を開けた
外の冷たい空気に当たらないと
私のテンパりそうな気持ちが静まらないと思ったから