天然彼女の愛し方(完全版)
俺は
女が嫌いだ
『斉藤君…放課後少しほど時間もらえるかな?』
「あ゛別に良いけど」
俺がそう言ったとたん
がやがやと煩くなる教室
ウザ…
しかも俺に話しかけてきた奴は榊美紗緒
俺にも独自の情報網というものがあり
いろいろと調べた結果
前に春華を閉じ込めた奴等のボスがこいつだと知った
たぶん
俺に好意を持っている奴の一人だろう
…昔から女ウケするような顔つきだったらしく
ちやほやされて育ってきた
でも、それまでの『感じ』と違うと思い出したのは
中学のときからだった
『一回だけで良いから』
俺が告白を断ると、そう言われてデートをするというパターンが増えていった
理由は、教室で耳を澄ましているとすぐに分かった
『斉藤君と昨日デートしたんだよ!』
『わー、そうなの?すごいね!』
『私は小谷君とね…』
彼女たちが望むものは
『斉藤廉』という自分の人生のアクセサリー
流行のものを付けることで
皆よりか優位に立てる
彼女たちは
俺自身じゃなくても、俺の顔をした奴なら誰でも良いと
最初からそんな気持ちで告白をしてきたんだ