天然彼女の愛し方(完全版)



俺は彼女たちに踊らされていただけなんだと
気づいた瞬間から

俺は女と話すことを極力避け始めた



近づくのなんて馬鹿らしい

寄ってこられても迷惑




『きゃー!美紗緒さんが廉様を呼び出したよ!』
『あの2人お似合いだよねー!』



チッ…


どこがどう似合ってるんだよ

もしくは俺と春華は似合わないっつーのか



これだから女は嫌いだ


避け始めたというのに
俺のことを勝手に『廉様』とか呼びやがるし


何かあるごとにいちいち煩い

俺が誰と付き合おうが誰を振ろうが、お前らには関係ないだろと言ってしまいたくなる

しかもねちねちとしつこい



俺が春華を選んだのは

そういうのに無縁そうな、綺麗な奴だから煩くしなさそうで
女よけに使っても大丈夫だろうと思っていたからだ





だけど堕ちてしまったのは

俺のほうだったみたいだ



こいつ本当に純粋で俺が思いもしなかったことさらりと言うし

それなのに何も知らないから染まりやすいし



今までほかの女子を見て「いいな」と思っていた気持ちなんて霞んで見えるぐらい
ちゃんと、はっきりとした気持ちを持つことができた



その気持ちの奥には
まだ春華が知らないであろう事なんかも入ってるから
普段はこんな事考えない



男は好きになりすぎると

これ以上のことも求めるようになるんだよ



この間の春華の様子を見る限り
まだ道のりは長いと思われる



俺は無意識にため息を一つついた



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