嘘つき④【-理由-】

『瑠香、琴音は君に懐いているようだ。あれも今度の祝賀会に出席するように言っておいてくれないか』


『…ええ。勿論』

あたしは精一杯魅力的に微笑む。


せめて片隅にでも記憶に残るように。


だけど、彼はすぐにその淡い栗色の瞳を逸らして、仕事の顔になる。


大原 清吾。35を迎える彼はその若さで既に社長まで登りつめ、精悍な顔立ちに淡い瞳の色は冷たい位見透かす様に射抜く。きっちり撫でられた髪型。均整の取れた体型。

女性誌でも『魅惑の社長』なんて取り上げられる程。


最も、彼の魅力は、外見だけじゃないの。



惹かれてやまないのは



その野心的な性質。



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