嘘つき④【-理由-】
下らない。そう言われれば、そうなのかもしれない。
母がどんな手を使ってあの人の横に並んだのかは知らない。
だけど、それが長く続かない事は誰の目から見ても明らかだったし、まだ10歳になったばかりの彼の一人娘でさえ、透明な瞳を興味なさそうに投げかけていた。
切り捨てられれば終わり。
分からない訳じゃない。
だから、あたしは自分ばかりに手をかける母と違って、周囲に目を向けた。
あの人の唯一の娘。
隔絶された世界でぼんやりと自分の意味を問う彼女に『良い姉』を演じるのは容易く。
真っ白で、純粋な好意の眼差しが後ろめたい気分にはさせたけど、関係ない。
利用しなきゃ、あたしはあたしでいられなかったから。