嘘つき④【-理由-】
「…馬鹿ね」
私は。こうして、駒のひとつにしか過ぎない自分が酷く惨めに思える。
プライドだけが高くなっていく私の真実なんかもう原形を留めてない。
結局、愁哉の言葉が正論。
『あの人』は私のプライドなど守ってくれない。
冷たい人。
高校の時から、その威圧的な態度と、それでも発し続ける上に立つもののオーラに見入った。
憧れが、嫉妬になって、憎くなり、それでも、激しい位焦がれた。
例え、
その人の横にいるのが、
実の母でも。
私は減っていくグラスを眺めながら追憶にまた身を任せる。
今夜は、少し変ね。