【完】アニキ、ときどきキス
山田先生は眉間にシワを寄せ、少し考え込むと、意を決したかのように自分が着ていたジャージの上を脱ぎ始めた。


「突然どうしたんですか!?」


「・・・・・・これ、着て下さい」


そう言って山田先生は、脱いだジャージの上を、私の手にむりやり持たせた。


「どうして?」


「・・・・・・」


山田先生は、何がなんだか分かっていない私の手からジャージをとると、それをバサっと広げて、私の肩にフワリとかけた。


山田先生が私を見つめる。

心臓がドキリと動く。

真剣な表情。

山田先生の人差し指が私の鎖骨に伸びる。


「っひゃっ!」


突然感じたくすぐったさに、私は思わず縮こまった。


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