【完】アニキ、ときどきキス
『とにかく、電話じゃ無駄ね。
今日の放課後そちらに伺います。
いいですか。体罰ですからね。
重く受け止めて下さい!』


ガチャンッ!


電話口の向こうで受話器を強く叩き置く音が聞こえた。


サーッと血の気が引いていく音が聞こえたような気がした。


「どうして・・・私、そんなことしてないっ!」


混乱状態のまま、階段を上り教室へ向かう。


子ども達がすれ違いざま、おはようと声をかけてくれるけど、上手く笑えない。

返事が返せない。


「北原先生おはよう!」


「あ、おは・・・・・・」


どうして・・・・・・


声を出そうとすると、涙がこぼれそうになる。


これからどうなっていくのか怖かった。



涙で視界が霞む。

目の前がどんどん歪んでいく。


その時、


ズルッ


「っきゃ!!」


ズダダンッ!


私は階段を踏み外してしまった。


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