【完】アニキ、ときどきキス
「いや、俺は・・・・・・」


直太朗は後ろで見ていた遥のことを見る。


「遥・・・やっぱり遥ですのね」


穂高が手に持っていたチョコをギリっと握りしめる。

箱がぐちゃっと潰れる。

なんかこの感じ・・・穂高が前、遥をいじめていた理由が理由なだけに、私は慌てて立ち上がり、仲裁に入ろうとする。


「あ、あのね、穂高」


止めようとした時だ。


「私、遥に弟子入りしますっ」


「ハア!?」


一番に驚いたのは遥だった。

穂高が遥に近づき、遥の手をぎゅーっと握る。


「よろしくお願いしますね」


「ヤダ」


遥は一言だけ吐き捨てると、教室を出て行く。


「待って下さい」


その後ろを穂高が追いかける。

なんだかこうしてると、はじめの頃が嘘みたい。


< 213 / 231 >

この作品をシェア

pagetop