ヒレン
「話したんだね。……」



「……ああ。風邪ひいていたとき、うわ言で智のこと呼んだの、ヒデ聞いてたんだ」




互いに二の句が告げなかった。



「……そう。あのね、和くんにプロポーズされたの」



電話の向こうでカップが割れる音が響く



「シンちゃん?」



「大丈夫。そっか。和真ついにしたか……で、ヒデに釘刺されたって具合か?」



微かに笑いを含んだ真の声。



「……」



「図星か。でも俺もそう思うぞ。ちゃんと話してみたらどうだ?俺もヒデに上辺しか話してないし、ちゃんと和真に打ち明けてみろ。結婚するんだろ?」





「そのつもり。……話して嫌われるのが怖い。弱さを見せたくないの。和くんが好きになってくれたのは強い私だと思うから」




電話の向こうに、きっと真剣な表情(かお)をして、少し呆れている真の顔が見える。

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