ヒレン
エレベーターを待つ時間さえも惜しくて非常階段を駆け下りる。


実習では階段を使うので慣れたものだ。


マンションの前まで駆け下りると真の姿があった



「チコ。行くぞ。乗れ」



バイクのヘルメットを放り投げる



「うん」



ヘルメットを被り真の後ろに跨る。


体中が心臓になったみたいに脈打っている



「しっかり掴まってろ」



言うなり真はアクセルを捻った。



慎重な運転で、でもできるだけ速く。



20分ほどで目的の場所に到着した。



大学から少し離れた総合病院。


駐輪場に乱暴にバイクを止めると真は智子の手を引いて救急の入り口に走った。



呆然とする智子を制して真が受付で尋ねると返ってきた答えは欲しくないもの…




聞きたくない答えだった。



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