ヒレン

Tea Time

雲行きが怪しくなり冷たい滴が空から落ちてきた。


「あ、雨」


2杯目の紅茶を飲みながら智子は研究室の窓を閉めた。

文献が散乱している部屋にかろうじて二人が座れるスペースを作り

秀明はため息をついた。


「片付けましょう」


「だってまだ使うし」


無駄な抵抗をしてみるが

その言葉を無視して片づけを始めた。


「使ったものは元に戻せばいいでしょう」


「ねぇ、その言葉遣いやめない?」


そう言ってマグカップを

机に置いた瞬間、秀明のそばにあった本の山が崩れ落ちてきた。

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