ヒレン
「ノックぐらいして」


「こんな時間までどうしたんですか?」


壁際にある時計に目をやりながら、問いかける。


「別に。学生と話していただけよ」


視線を智子の方に向けると、閉まりきっていない引き出しから微かにピンクの箱が見えた。


開けられた窓、引き出しから見えるもの。




一本につながる。



「ねえ、お茶飲んでかない?」


「……いいですよ」


そう言うと、文献を机の上に置いた。


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