ぴゅあ☆プリンス
「あのっ…!!」
男の子がドアに手をかけたとき。あたしは無意識に男の子を呼び止めてしまっていた。
不思議そうな顔をして振り向く男の子に、あたしは笑顔を向ける。
「あたし、朱夏っていうの。覚えておいてね!!」
キョトンと小さく目を見開いた男の子は、数秒経ったあと、こくんと頷いて屋上から出て行った。
――ドキドキ、ドキドキ。
緊張と嬉しさでうるさいほど高鳴る心臓と、微かに赤い自分の頬。
「……やばいーっ!!」
熱い頬を両手で挟みながら柵まで猛ダッシュ。
「かなり大好きー!!」
抑え切れない想いを大声で叫んだ。
好きです。
大好きです。
まだまだ知らないことがいっぱいだけど。出会ったばっかりだけど。
少しずつ、少しずつでいいから…
君に近づきたいよ。
あたし、
――君に惹かれてる。