ソレデモワタシハアナタヲアイス
向かう先
「ねぇ、ソラ」
「ん?」
「相談があるんだけど」
文化祭でにぎわう廊下で、ソラは私に合わせて立ち止まった。
「何だよ?真面目な顔して」
何かを悟ったソラは、真剣な表情で私に近付いた。
「ソラ、もし私が東京の大学に行くって言ったらどうする?」
私に捉えられたソラの目が変わる。
「え?何だよそれ?」
ソラは明らかに動揺していた。
「だから、ソラはどうする?賛成?反対?」
私は、真っ直ぐにソラを見た。
「東京の大学、受けんのかよ?」
「…まだ決めてないけど」
私は、ゆっくりとまた廊下を歩き出した。
「何だよ?からかってんのか?」
ソラも慌てて私に足を合わせる。
「別にからかってないから。ちょっと考えてただけ」
私は、少し後悔した。
こんな顔をされるのなら、言わなければ良かったと思った。
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