白は花嫁の色

血なんか繋がっていないのに分かってくれていたんだ。

寂しくて苦しくて辛くて…凍て付いた心に一滴あたたかい雫が落ちる。

あれだけ泣かないと強く願ったのに―――


「父さんはな、雅は忍を幸せにできるって知っているから。

だから雅、忍を手放した父さんが言えないんだけどな。

お前あきらめるな、全てをあきらめるな、お前は俺の息子なんだから…諦めたりするのは許さないからな?

…王子様な結城とちゃんと戦えよ」



ああ…

こんなことを言われたら諦める訳にはいかないじゃないか。

俺は姉ちゃんしか愛せないのだから。

姉ちゃんを幸せにしたくて仕方がないのだから。



でも――…

フルーツいっぱいのケーキが頭の中に浮かぶ。

ケーキを落とした俺と、ケーキを渡したのは…


食べさせてあげられなかった誕生日ケーキ…



「…でも」


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