白は花嫁の色
「でもじゃない。お前は忍が好きなんだろう?
好きな女を守る事ができるのはな、好きな女を一番幸せにしたいって誓える奴だから。父さんだと説得力ないけどな。
お前な、部活やめて勉強やめてそれでどうだ?何もならないだろう?」
涙が口に入る。肩が震える。息が苦しい。泣きじゃくるなんて子供だ――
「頑張れよ、な?」
「っ、ありがと…う」
「ほら、うちに帰るぞ」
背中に添えられた温かな手―――
―――俺は…
姉ちゃんの気持ちを聞くまで、結城の気持ちを聞くまで…
それまではまだ好きでいたい。
今は負けているけれど、一発逆転を狙ったっていいじゃないか。
諦めたりするのはやめよう。
部活はもうしないけれど。代わりに勉強を頑張ろう。…何をするか、自分のために考えてみよう。
未来に、とりあえず家族は居る…
明るい月は、きっと希望の色なんだ――
今日という日が おうじさまの一夜にするチャンスだった。
ついさっき、姉ちゃんと一緒に眠れば良かったんだ。
手を繋ぐだけで良かった、眠る前にたくさん姉ちゃんの話を聞いてやるチャンスだったんだ…
告白ばかりしたがる俺は、姉ちゃんを思いやる気持ちがなくて…
チャンスは逃したけれど、まだ俺には未来があるから―――