白は花嫁の色

「でもじゃない。お前は忍が好きなんだろう?

好きな女を守る事ができるのはな、好きな女を一番幸せにしたいって誓える奴だから。父さんだと説得力ないけどな。

お前な、部活やめて勉強やめてそれでどうだ?何もならないだろう?」


涙が口に入る。肩が震える。息が苦しい。泣きじゃくるなんて子供だ――


「頑張れよ、な?」
「っ、ありがと…う」

「ほら、うちに帰るぞ」

背中に添えられた温かな手―――




―――俺は…

姉ちゃんの気持ちを聞くまで、結城の気持ちを聞くまで…

それまではまだ好きでいたい。


今は負けているけれど、一発逆転を狙ったっていいじゃないか。

諦めたりするのはやめよう。

部活はもうしないけれど。代わりに勉強を頑張ろう。…何をするか、自分のために考えてみよう。

未来に、とりあえず家族は居る…



明るい月は、きっと希望の色なんだ――

今日という日が おうじさまの一夜にするチャンスだった。

ついさっき、姉ちゃんと一緒に眠れば良かったんだ。

手を繋ぐだけで良かった、眠る前にたくさん姉ちゃんの話を聞いてやるチャンスだったんだ…

告白ばかりしたがる俺は、姉ちゃんを思いやる気持ちがなくて…


チャンスは逃したけれど、まだ俺には未来があるから―――


< 247 / 335 >

この作品をシェア

pagetop