不器用なカノジョ。
気づけばあれから1週間が経っていた。
1日最低でも10回。
ヤツら3人から先端を向けられる、
なんて悲劇にあっていた俺。
でも今日は…俺に運があるみたいだ。
「悪い!俺、ちょっと用事!」
4時間目終了のチャイムが鳴ったと同時に慎太郎にそう言って教室を飛び出した。
そして渡り廊下を通り、階段を駆け上がる。
廊下を突っ走り、図書室のドアを開けた。
「…俺が先か」
でもそこにひろの姿はなかった。
それもそうだ。
まだチャイムが鳴って1分も経っていない。
この間、ひろが座っていた席の真向かいに座る。
そして窓を開けた。
風が吹いた。
カーテンが揺れた。
それを見ながらも俺の頭の中はひろでいっぱいで。
俺ってばどんだけひろのことが好きなんだろう。
そんなことを考えてクスッと1人で笑う。
すると突然、こんな言葉が俺に降ってきた。
「…うわぁー…気持ち悪っ!
大の男子高校生が1人笑い、って。
鳥肌もんよ、それ」