私を愛して
シルトは真っ赤になって、私を丁寧な言葉とともに、引き剥がした。
シルトはとても可愛らしかった。

 「ねぇ?!シルト。あの…マージーが歌ってた曲、なんていうの?!シルトって言ってたでしょう?もしかして、特注して作らせたの!?本当に金持ちなのね!」



シルトはなんてお金持ちなのかしら!

ポテトチップスもコーラも買ってくれて、その上、特注の歌!
ライラはお金持ちばかりだわ!
…少しだけ、嫉妬してしまうけど。

 「ちっちがいます!特注したわけじゃありません!あれは…『シルト、出ておいで』という流行の歌です。
たまたま同じ名前なだけです。ラブソングなんですよ?作曲者のパンプ・スリーチャーってご存知ですか?」

シルトは古いカーテンをピッとテープをはがすように上から落とすと新しいカーテンに変えた。
そして、古びて使い物にならないカーテンは、ゴミ袋に捨てる。
 まるで、私は今そのカーテンと同じだと思う。

 「パンプ・スリーチャー?知らないわ…有名なの?」
 「ええ、とっても。『シルト、出ておいで』もパンプが作ったんですよ。ほら、皆歌ってます。」


シルトが窓を指差すと、まるでレコードのように歌声が聞こえてきた。



 シルト 出ておいで

 もう こわがらせないよ

 出ておいで

 かくれんぼじゃなく、おにごっこをしよう

 君を捕まえるよ

 出ておいで

 シルト

 愛してるよ

 君が俺に夢中なら

 俺も君に夢中さ

 シルト

 おいで。

 この胸が 君の残り香がほしいって泣いている

 君をだきしめたいよ

 出ておいで


 俺の愛しのシルトー…







同じ歌詞が使われてるところもあるけど



とっても綺麗な歌詞で



純粋に愛する人を誘い出すー…


そんなラブソングだった。



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