私を愛して
「いい曲ね…パンプ・スリーチャー…きっと心が綺麗なのね」
きっとそうよ。
ライラにはたくさんの人がいるわ。
作曲家。
芸術家。
国民。
アルバイトしてる人。
主婦…
たくさんいる。
王国よりも自由な国ー…
ここは…ライラだ。
泣き言ばっかり言っていられない。私は特別な存在として、この国に招待されている。
文句ひとつ言えない身。
そういう現実を、パンプ・スリーチャーの曲は教えてくれた。
「へい!ポテトチップスお待ち!コーラもさ!」
マージーは窓からヒョイッと中に入るとお皿を私に渡した。
これがー…
ポテトチップス?とコーラ?
「まぁ…不思議な食べ物。うっす~い…あの…ストローは?どうやって食べるの?」
フォークがないと食べれないわ。
「まぁ!ポテトチップスは手で食べるのですよ!コーラはそのまま!」
え!
手?!
この手で?
つまんで食べるのかしら。
「でも…」
「いいんだよ!プリンセス!ライラはこうやって」
マージーはお皿から一枚ポテトチップスを摘むと口へと運んでいった。
「食べるのさ!さぁ!プリンセス!」
手で・・・摘む。
始めてかも…そんな動作。
やるとしたらペンを持つか、本を持つか。
ワインを持つか、フォーク、スプーンを持つか。
それくらいだもの。
手を使うなんて。
手なんてあってもなくても、私には一緒だった。