王子様は寮長様
「どうしたらその夢を叶えさせてあげれるか…。考えて末に、“父親”と名乗れば支援しやすいと思った。資金は早苗さんが受け取らなかった慰謝料だ。」
慰謝料…。それでさっき返す必要はないと言ったのか。
「口座に振り込まれる名前に気が付いたかい?」
「S&Kグループですよね?」
「それは相馬と九条の頭文字さ。」
いいネーミングが浮かばなかったんだ、と彼は笑った。
私の知らない所で色んなことがあったんだ…。
「私…何も知らなかった…。お母さんも父親について話してくれなかったから、ずっと、今更“父親”なんてって思っていました。」
そう。お母さんが死んでから急に出てくるなんてって…。
高校まではその支援に甘えさせてもらうけど、後は一人で生きて行こうって…ずっと…ずっと思っていた。
「何も知らなかったのに、私、なんて酷いことを思って……」
「謝るのは私の方だ。早苗さんには辛い思いばかりさせた。君にも…。」
しかしね、と彼は続けた
「君は一時でも私の娘だったんだ。その思いは今でも変わらない。君は私の娘だよ。」