今日から私が
「はじめまして、お嬢様」
「あ、はじめまして!藤城…拓人さん」
「え……」
なんで、俺の名前……。
「お嬢様は、この会社の社員、全員の顔、名前を把握しております」
さっき、敦也と呼ばれていた執事が、俺の表情から気持ちを読み取ったのか、説明してくれた。
つーか、
「全員、ですか?」
「当たり前よ。私は一人っ子なんだから、お父さまの後継ぎは私。次期社長である私が、社員全員の顔と名前を認知してないで、どうするの?」
それを当たり前と言うお嬢様がすごい。
俺、全然覚えてないんですけど。
「取り敢えず、この机の上にある書類を片付ければいいのかしら?」
そう言って、普通にお嬢様は仕事に取り掛かった。