夜が明ける前に
銀の髪は所々に光を吸収して煌めきを放っている。
薄く開かれた唇は色を帯びてなくて、顔と同様に蒼白いんだろうと思った。
「―――…カヨ?」
名前を呼ばれて、はっと我に還ると、途端に訳の解らない感覚に襲われた。
苦しいような、気持ち良いような
悲しいような、嬉しいような
相反するものが、胸に渦巻く。
…でも、嫌じゃないと思うのは変なんだろうか?
「……気分、悪いのか?」
眼を細めて覗き込むギンジに首を横に振って見せる。
「…なんか、ぐるぐる廻ってる。」
「なにが?」
「…よく解らないモノ。」
「……やっぱり変わっているな、お前は。」
「…そうかもしれない」
ふふっと笑うとギンジも頬を緩めた。
…あ。次は、あったかい。
ほわん、と内側が温められるみたいな……
何なんだろうな、これ。
一人で首を傾げていると、ギンジがゆっくりと口を開いた。