りんごを剥く手
私はいつものように
手術後ひとりで寝ていた。
だって手術後って
痛みが凄くて
涙が出てしまいそうだから、
そんな姿誰にも
見られたくなんか
無かったの。
意地っ張りだって
良いから
むしろそこでしか
意地をはれない。
だから
誰にも痛みが
伝わらないように、
主演女優賞が
貰えるくらいに
私は笑ってみせた。
そう見えていたなら、
賞が欲しいな、なんて
冗談言えちゃう今がにくい。
とにかく
私は見えるはずの無い
「治った私」
を想像して
母を回りを欺くことに
集中してた。
だけど寝るときは
別だった。