りんごを剥く手


どうしても
演技しきれなくて
泣きたくなって、
我慢して寝ると
嫌な汗が出て
眉間に自然と皺が寄る。


皺を寄せるのは
簡単だけど、
伸ばすのは本当に
難しい。


だからいつからか
お母さんに
寝るときは一人が
楽だからと言って
お願いした。
頼みごとを私は
なかなかしない子だから、
すぐ受け入れてくれた。


だけど
私の用心深さは
群を抜いていた。
お母さんが
何回か様子にみることが
あるとすぐ起きてたし
お母さんに限らず
誰かがいると
全く寝れなかった。

良くも悪くも
私の神経は
弱ったからだに逆らって
敏感だった。
苦しくてもそれを
フォローする事くらいは
常にできている...
はずだった。

だからこそ
ビックリした。
だってあなたが
私のベットに
顔を伏せて
眠っていたんだもん。


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